すぐに挿入出来てリコールも簡単なとても便利なプラグイン。
しかしここ一番でハードウェア・アウトボードの実機も使ってみたい場面もあると思います。
その際にLogic Pro Xの標準機能を使用してハードウェア・アウトボードを簡単にDAWにルーティングすることが出来ます。
今回はスネアに挿したプラグインのコンプレッサーをハードウェア・アウトボードに挿し替えてみます。
それでは実際にやってみましょう。
目次
① トラックを用意する。
現在スネアのトラックにUAD2プラグインの1176LN Rev.Eが挿入されています。
これをハードウェア・アウトボードの1176LNに挿し替えていきます。
② Audio FX にUtility → I/Oを挿入する。
Audio FX にUtility → I/Oを挿入する。
(今回はスネアの1トラックなのでモノラルを選択)
③ I/O の設定を行う。
- オーディオインターフェースに接続したコンプレッサーのアウトプット・チャンネルを選択。
オーディオインターフェースに接続したコンプレッサーのインプット・チャンネルを選択。 - Pingを撃って(クリックして)レイテンシーの補正を行う。
自動でLatency Offsetが適正値に補正される。 - Dry/Wetの割合を調整可能。100%の表示はWetが100%の意味。
※ 時々このI/O設定を行ってもハードウェア・コンプレッサーが反応しない場合があります。
その場合は一度プロジェクトを保存してLogic Pro Xを終了して、再起動して下さい。殆どの場合再起動で反応します。
もし再起動で反応しない場合はもう一度ハードウェア・コンプレッサーを接続したIN側とOUT側のチャンネルナンバーとI/Oプラグインのチャンネルナンバーが一致しているかを確認して下さい。
※ UAD2のConsoleソフトウェア側のチャンネルトラックは必ずミュートにして下さい。ループしてドラムの音が二重になってしまいます。
④ プラグインのコンプレッサーと音量を合わせる。(この作業は必須ではない。)
テストオシレーターを起ちあげてプラグインのコンプレッサーのスイッチをON
音量を確認して、プラグインのコンプレッサーのスイッチをOFF
ハードウェア・コンプレッサー(I/O)のスイッチをON
Output Volume と Input Volume で音量を調整してプラグインのコンプレッサーと合わす。
※ この作業はプラグインとハードウェア・コンプレッサーとをAB比較で聴き比べする為の作業なので聴き比べをしない場合は必要ありません。
⑤ 録音・オーディオファイル化の方法
録音・オーディオファイル化の方法
DRYのOutputをBus1に変更。
この際に自動的にAUX(Bus1)トラックが作成されるが無視するか又は削除しましょう。
新たにオーディオトラックを作成して、InputをBus1に変更。
新たに作成した方のトラックの「R」ボタンをクリックして点灯させて、録音をモニターしたい場合には更に「I」ボタンもクリックして点灯させましょう。
準備が整ったら録音を開始します。
※ 録音完了後に必ず録音したほうの新規トラックのInputをBus1から「入力なし(Input)」に変更してください。
⑥ 完成。聴き比べてみましょう。
ソフトウェア・プラグインとハードウェア・アウトボードのノブの位置は同一にして音量も揃えています。
元のスネアのオーディオファイルで既にEQ、リバーブの処理を施してバウンスをしているため、今回は最終マスタートラックにリミッターを挿入した以外は何もプラグインは使用していません。
まとめ
いかがだったでしょうか? ハードウェア・アウトボードをオーディオインターフェイースに事前に接続しておけばLogic Pro X 標準の「I/O」プラグインで簡単にハードウェア・アウトボードを使用してのハイブリッド・ミキシングをする事が出来ます。
今回の場合はUAD2のソフトウェア・プラグインとハードウェア・アウトボードが同一メーカーの為にプラグインのモデリングがあまりにも再現性が高くてハードウェア・アウトボードとほぼ同じ出音がします。
現行の1176LNがクラシック1176のリビジョンC、D、Eをベースに設計されましたので本当にブラインドで聴いたらどちらが実機でどちらがプラグインなのかもはや判断できないレベルです。
これが同じUAD2の1176LNでもDSP節約の為のLegacyバージョンのプラグインだと若干ニュアンスが違って実機とプラグインの聴き分けがつくのですけどね。
ここまでUAD2のソフトウェア・プラグインの再現性が高いためにリコールの容易さ、手軽さ、など利便性がハードウェア・アウトボードよりも優れているためにここ数年は私自身あまりハードウェア・アウトボードを起動しなくなってしまいました。
近い未来にアウトボードの挙動をほぼ完全にモデリングできる時代が来るかもしれませんね。