ヴィンテージのUrei LA-3A のオプトセルとトランスフォーマーが経年劣化で動作しなくなったので部品を交換しました。
目次
Urei LA-3Aとは
圧縮回路に光学式を使ったタイプのコンプレッサー。
LA-2Aの後継機種になります。
LA-2Aは真空管のアンプ回路ですがLA-3Aはソリッドステートのアンプ回路に変更されています。
そのためLA-2Aと比較してアタック・タイムが高速化されました。
LA-2A アタックタイム 10ms
LA-2A リリースタイム (stage 1) 60 ms (50% release)
LA-2A リリースタイム (stage 2) 0.5 to 5 seconds
LA-3A アタックタイム 250us to 1.5ms
LA-3A リリースタイム (stage 1) 60 ms (50% release)
LA-3A リリースタイム (stage 2) 0.5 to 5 seconds
またアンプ回路が真空管からソリッドステートに変更された為に音質もかなり違います。
日本ではLA-2Aと1176の間でやや地味な存在ですが海外ではとても人気の有るコンプレッサーです。どのような音源にもオールマイティーに合いますがミッドレンジにパンチを付加する特徴の為、特にギターに対してとても相性が良いです。
経年劣化の症状
私の所有するモデルは1975年製のため経年劣化でコンプレッションしなくなってきました。
前オーナーがもう1台のLA-3Aの光学セルを米国のヴィンテージ・キング・オーディオに出して既に新品に交換していたと聞いていたので暫くは新品の光学セルとヴィンテージの光学セルの音質の違いで使い分けていましたがリダクションメーターの針が振れる場合も有りますが殆ど針が振れなくなって来たので、いよいよ寿命が尽きたようです。
上蓋を開けて確認作業
T4(T4B)光学セルはUniversal Audio製リイシュー版のセルに変更されていました。リイシュー版も既にディスコンになってしまいました。
どうやらT4(T4B)光学セルのトランスも交換されている模様。
トランスもかなり劣化しています。
新旧T4(T4B)オプトセルの比較
本当はヴィンテージのT4(T4B)オプトセルが良いのだが調べるとNOS品が約22万円。
送料と輸入消費税を含めると約25万円くらい。
米国にはヴィンテージの光学セルををリビルドしてくれる業者も在るのだが使用部品は当時と全く同じ部品は既に生産されていないため結局はリイシューと変わらない。
光学セルだけに25万円も出せないのでリイシュー版のUniversal Audio製の光学セルとトランスを米国に発注しました。
発光部セル透過を感知するセンサー(フォトセル)2箇所を金属のスレーブで支えて取り付けられている。黄色の絶縁チューブ処理を施している。
非常にしっかりした作り。
2個のセンサー(フォトセル)は一つはコンプレッション回路の動作用でもう一つはメーターの駆動用。
今回、米国から到着した光学セルをヴィンテージと比較するためにバラしてみると!
何だこれは? どうやらハンダ付けが甘く針金状のリード線がハンダから剥がれてしまっている。
しかも針金状のリード線に曲げ加工を施していない。
後でハンダのやり直しをしよう。
比べて見るとUniversal Audioリイシュー版の方はかなりコストを削ってますね。
センサーを支える金属製のスレーブも無く針金状のリード線で支える構造。
リード線に絶縁チューブ処理もされていない。
光学セル直後に配置されるトランスもかなり経年劣化が進んでいる。
基盤も経年によってかなり弱くなっているようなので壊さないように慎重にヴィンテージの固着したボルトを取り外して結線、ハンダ付けして交換完了。
音質に大きく影響する光学セル&トランスを交換したので厳密にはヴィンテージと全く同じ音質ではなくリイシューに近い音質になったが光学セルは消耗品なのでいつかは交換しなければならないので仕方がないですね。
LA-3A テスト
やはりLA-3AはBUSに挿すよりもトラック単体に挿す方が合いますね。
まとめ
実機はコスト、手間が掛かりますしリコールも出来ません。コンディションも常に変化します。
近年のプラグインは非常に技術の進化が著しく音質や効き具合の動作も実機との差はかなり少なくなって来ています。
メンテナンスの手間もなくコンディションも常に一定でリコールも瞬時に効くとことは大きなアドバンテージとなります。
実機が完全に消滅する事はまだまだないとは思いますがプラグインが今後益々多用されて行くでしょう。